東大生の高校数学ブログ

高校数学の公式を覚えずに得意になるためのブログです

覚えなくていい「三角関数の合成」

覚えなくていい「ベクトル」2(内積) - 算数は得意なのに数学が苦手なひとのためのブログ
の続きですよ!

三角関数の合成って、たぶん高校では\sinで合成するようにならってるはずだけど

世界でみても、割とマイナーらしい。


たしかに教科書に載ってる「使い方」の説明もあんまし腑に落ちないし、、


ということで。



せっかくなら\cosで合成しよう!



やり方は簡単。



\cos \theta +\sin \theta =    \left(     \begin{array}{c}       1  \\       1       \end{array}   \right) \cdot      \left(     \begin{array}{c}       \cos \theta  \\       \sin \theta      \end{array}   \right) \

 =    \left|     \begin{array}{c}       1  \\       1       \end{array}   \right| \cdot      \left|     \begin{array}{c}       \cos \theta  \\       \sin \theta      \end{array}   \right| \cos \left( \theta -\dfrac {\pi }{4}\right) \

=\sqrt {2}\cos \left( \theta -\dfrac {\pi }{4}\right) (下図参照)

簡単ですね。

他に例をあげてみると

\sqrt {3}\cos \theta +\sin \theta =    \left(     \begin{array}{c}       \sqrt {3}  \\       1       \end{array}   \right) \cdot      \left(     \begin{array}{c}       \cos \theta  \\       \sin \theta      \end{array}   \right) \

 =    \left|     \begin{array}{c}       \sqrt {3}  \\       1       \end{array}   \right| \cdot      \left|     \begin{array}{c}       \cos \theta  \\       \sin \theta      \end{array}   \right| \cos \left( \theta -\dfrac {\pi }{6}\right) \

=2\cos \left( \theta -\dfrac {\pi }{6}\right)


こんな感じ?わかりますか?

覚えなくていい「コーシーシュワルツの不等式」

覚えなくていい「ベクトル」2(内積) - 算数は得意なのに数学が苦手なひとのためのブログ
のつづきです。

コーシーシュワルツの不等式ってあまり聞きなれないかもしれないけど、当たり前の式だからなんてことないです。


コーシーシュワルツの不等式は


ax+by+cy\leq \sqrt {\left( a^{2}+b^{2}+c^{2}\right) \left( x^{2}+y^{2}+z^{2}\right) }
または
\left( ax+by+cz\right) ^{2}\leq \left( a^{2}+b^{2}+c^{2})(x^{2}+y^{2}+z^{2}\right)

っていう複雑な式だけど


簡単にいえば


\overrightarrow {a}\cdot \overrightarrow {x}\leq \left| \overrightarrow {a}\right| \left| \overrightarrow {x}\right|
\overrightarrow {a}=   \left(     \begin{array}{c}       a  \\       b  \\       c     \end{array}   \right), \overrightarrow {x}=   \left(     \begin{array}{c}       x  \\       y  \\       z     \end{array}   \right)


というだけ。内積は長さの積以下であるというのは自明です。簡単ですね。

覚えなくていい「加法定理」

たぶん、学校で加法定理ならったとき多くの先生が「とりあえず覚えろ」っていって

\cos \left( \alpha +\beta \right) =\cos \alpha \cos \beta -\sin \alpha \sin \beta
\sin \left( \alpha +\beta \right) =\sin \alpha \cos \beta +\cos \alpha \sin \beta

これが当たり前に見えるわけもなく、クラスの怖いI井くんは「ころすころすしねしね..」ってぶつぶついいながら語呂合わせでおぼえてたくらい


ただこれも、「ベクトル=道順」って知っていればそんな難しいもんじゃない


この四分円を、半径1の円だと思えば、


\overrightarrow {OA}=   \left(     \begin{array}{c}       \cos \alpha   \\        \sin \alpha     \end{array}   \right)
\overrightarrow {OB}=   \left(     \begin{array}{c}       \cos \left( \alpha +\beta \right)   \\        \sin \left( \alpha +\beta \right) \end{array}   \right)


だから、

\overrightarrow {OB}=\overrightarrow {OH}+\overrightarrow {HB}


より、\overrightarrow {OH}\overrightarrow {HB}が分かれば、なんか加法定理がつくれそうな気がする。


\overrightarrow {OH}は、
方向ベクトルが\left(     \begin{array}{c}       \cos \alpha   \\        \sin \alpha     \end{array}   \right)で、長さが\cos \beta

だから、

\overrightarrow {OH}=cos \beta \left(     \begin{array}{c}       \cos \alpha   \\        \sin \alpha     \end{array}   \right)

\overrightarrow {HB}は、
方向ベクトルが、\overrightarrow {OA}の左回り90^{o}回転だから \left(     \begin{array}{c}      -sin \alpha    \\   \cos \alpha           \end{array}   \right)で、長さが\sin \beta

だから、

\overrightarrow {HB}=\sin \beta \left(     \begin{array}{c}      -sin \alpha    \\   \cos \alpha           \end{array}   \right)

以上から、

\left(     \begin{array}{c}       \cos \left( \alpha +\beta \right)   \\        \sin \left( \alpha +\beta \right) \end{array}   \right)=cos \beta \left(     \begin{array}{c}       \cos \alpha   \\        \sin \alpha     \end{array}   \right)+\sin \beta \left(     \begin{array}{c}      -sin \alpha    \\   \cos \alpha           \end{array}   \right)

だから覚えるにしても、この形で覚えたほうが意味もわかってよさそうじゃない?

覚えなくていい「余弦定理」

余弦定理や、その証明を覚えさせられたかもしれません。

余弦定理はそもそも



c^{2}=a^{2}+b^{2}-2ab\cos \theta


というもの。長いし、おぼえたくない!!


ただこれも、ベクトルが道順だってこと知ってれば大したことない。
覚えなくていい「ベクトル」 - 算数は得意なのに数学が苦手なひとのためのブログ


A町からB町いくためには、C町経由していってもいいから、

\overrightarrow {AB}=\overrightarrow {AC}+\overrightarrow {CB}

両辺を二乗すれば、(左辺同士、右辺同士で内積をとる)

\left| \overrightarrow {AB}\right| ^{2}=\left| \overrightarrow {AC}+\overrightarrow {CB}\right| ^{2}
 =\left| \overrightarrow {AC}\right| ^{2}+\left| \overrightarrow {CB}\right| ^{2}+2\overrightarrow {AC}\cdot \overrightarrow {CB}
 =\left| \overrightarrow {AC}\right| ^{2}+\left| \overrightarrow {BC}\right| ^{2}-2\overrightarrow {AC}\cdot \overrightarrow {BC}

よって、
c^{2}=a^{2}+b^{2}-2ab\cos \theta
がいえる。


これだけ。長さが知りたかったら、長さと角度が分かってる別のルートを考えて、ベクトルの式を二乗するだけ。

無理して覚える必要ないね

覚えなくていい「ベクトル」2(内積)

覚えなくていい「ベクトル」 - 算数は得意なのに数学が苦手なひとのためのブログ
前回からの続きです。


ベクトルの内積って習いました?あんまし印象のこってない?


じゃあ、

    \left(     \begin{array}{c}       a  \\       b       \end{array}   \right) \cdot      \left(     \begin{array}{c}       c  \\       d       \end{array}   \right) =
ac+bd  \

はわかるかな??



分かるっていうのは、知ってるし、しかも当たり前だって思えていること。



っていうとハードル高いか。


そもそも内積ってただのかけ算だからね。


正確にいうと、「同じ方向で考えたときの長さのかけ算」



「長さ×長さ×\cos \theta

なんて覚えてるとあんまし役に立たないかも。間違いじゃないけど。



たとえばコレ。



\overrightarrow {OA} \cdot \overrightarrow {OB}はなんですかー?って聞かれたら


即答で

8×5=40

要するに、内積をしたかったら、


どちらかのベクトルを基準にして、その方向に進んでいる長さ達を掛けてあげる



今回の場合は\overrightarrow {OA}を基準にしてあげて、\overrightarrow {OB}\overrightarrow {OA}(長さ8)方向に5だけ進んでるから、

8×5で瞬殺。


わかりにくかったら、「貢献度」で考えてみよう。



結局内積によって何がわかるかっていうと、基準(ここでは\overrightarrow {OA})に対しての貢献度なんだね。


たとえば文化祭で、クラスで出し物をするとしよう。たとえば出し物が多数決でお化け屋敷をすることに決まったとする。

じゃあみんなでお化け屋敷がんばろう!ってなってるときに


・お化け屋敷なんてくだらないものやりたくない!っていってなにもしてないやつは、貢献度0
これは当たり前で、何もしてないから。

・お化け屋敷もいいけど僕は焼きそばを焼くぞ〜!って子は、どれだけ頑張っても貢献度0。お化け屋敷に関係ないからね。ベクトルだとこれは直角だね

・お化け屋敷なんて断固反対だ!ベニヤ板すべて破壊する!っていう過激派は、貢献どころか企画が進まないようにがんばるから、貢献度は-(マイナス)



というかんじ。つまり、

基準のベクトルに対して、貢献してる長さを掛けてあげればいいんだね



じゃあ   \left(     \begin{array}{c}       a  \\       b       \end{array}   \right)   \left(     \begin{array}{c}       c  \\       d      \end{array}   \right)内積がなんで
ac×bd
になるのかって話だけど。


   \left(     \begin{array}{c}       a  \\       b       \end{array}   \right) = a   \left(     \begin{array}{c}       1  \\       0  \end{array}   \right)+b   \left(     \begin{array}{c}       0  \\       1       \end{array}   \right)

   \left(     \begin{array}{c}       c  \\       d       \end{array}   \right) = c   \left(     \begin{array}{c}       1  \\       0  \end{array}   \right)+d   \left(     \begin{array}{c}       0  \\       1       \end{array}   \right)


ってわかりやすく分解してみて、内積の分配法則つかってかけ算してみれば一瞬でわかるよ。(いちおう内積の証明)

ベクトルはよくわかんないときは成分を分解してみるのが正解。



いちおうちゃんと書いときますね。


 \overrightarrow {e_{1}}=  \left(     \begin{array}{c}       1  \\       0      \end{array}   \right)

 \overrightarrow {e_{2}}=  \left(     \begin{array}{c}       0  \\       1      \end{array}   \right)


って置いとくと(ブログで数式かきやすいように置いただけで大した意味はないです)

\overrightarrow {e_{1}} \cdot \overrightarrow {e_{1}}=1 (平行だから1×1)
\overrightarrow {e_{2}} \cdot \overrightarrow {e_{2}}=1
\overrightarrow {e_{1}} \cdot \overrightarrow {e_{2}}=0 (直交だから0)

だから、

\left( a\overrightarrow {e_{1}}+b\overrightarrow {e_{2}}\right) \cdot \left( c\overrightarrow {e_{1}}+d\overrightarrow {e_{2}}\right)
=ac+cd

でおわり。当たり前でしたね。

覚えなくていい「ベクトル」

敬語で文書くと長続きしなそうなので砕けてかきます。も



おそらく、高校数学で「やだなあ」「そんなに何につかうの」

って思わせる単元の代表みたいなののひとつに

「ベクトル」

があると思う。


じつはベクトルは学校とかではちゃんと言ってくれないけど、めちゃめちゃ分かりやすいし、ちょー便利。

なんなら塾講でベクトル最強説!っていいまくってた


ベクトルが「道順」だって知ってれば加法定理とかが当たり前に思えるようになるし、余弦定理とかが定理になってること自体アホらしくみえてくる

それに「内積」をちゃんと教わってれば

直線の方程式、円の接線の方程式、点と直線のキョリ、三角関数の合成、コーシーシュワルツの不等式..etc

が全部あたりまえに見える。名称覚える必要も証明もなんもおぼえなくていい。


ぜんぶ 「ん?あたりまえじゃない?」


ってなる。




・・・はず。。




だから何?ってなるかもだけど、勉強は楽しむために贅沢してやるもんだからこういう見方すると楽しいし世界広がるよーってだけ


すくなくともみやのは楽しい。




とりあえず簡単にベクトルさんをほぼ一単語で他己紹介してあげると


さっきもいった通り



「道順」

内積



このふたつのキーワード知ってれば大丈夫。本当に。


まずベクトルってなにが便利かっていうと、



「この道まっすぐいって突き当たりを右に30mくらいいけば郵便局ありますよ」

みたいなこと



xy座標でぜんぶかんがえるなんてのは、郵便局にいくのに


「北緯〜度、東経〜度のとこにあるよ」っていってるようなもの



つまり、場所が具体的によくわかんなくても、「現在地からの方角とキョリ」さえわかれば目的地につけちゃうよね

っていう。





たとえばコレ。


\overrightarrow {AB}=\overrightarrow {OB}-\overrightarrow {OA}


みたいに習って、暗記してるひともいるかもだけど


A町からB町いきたかったら、O町経由していくのと変わらないから


\overrightarrow {AB}=\overrightarrow {AO}+\overrightarrow {OB}


でおっけー。


\overrightarrow {AO}=-\overrightarrow {OA}

の理由も、O町からA町経由してO町戻ってくるのは動いてないこと(つまり\overrightarrow {0})だから

\overrightarrow {AO}+\overrightarrow {OA}=\overrightarrow {0}


というだけ。べつにむずかしくもなんともないでしょ?


ここまでが、ベクトルの「道順」のお話で、
内積」のお話は

覚えなくていい「ベクトル」2(内積) - 算数は得意なのに数学が苦手なひとのためのブログ

でしますね。

覚えなくていい「場合の数」

覚えなくていい「確率」 - 算数は得意なのに数学が苦手なひとのためのブログのつづきです。


場合の数は最後にいった通り確率よりむずかしいです。


たとえばこんな問題


「・赤玉3個、白玉5個がある。この8個を円に適当に並べるとき、赤玉が隣合わない並べ方は何通りか」



円順列なので、円の一番上に赤玉を固定し、

◯のところに残りの2個の赤玉が入ればいいから、並べ方は

_{4}C_{2}=6 通り

です。


それでは、この問題はどうでしょう


「・子供3人、大人5人がいる。この8人が円に適当に並ぶとき、子供が隣合わない並び方は何通りか」



さっきと同じ問題にみえますか??


さっきとは全然ちがいます。
このときは、「人」なので明らかに区別できるのです。よって

子1,子2,子3,大1,大2,大3,大4,大5

と名前を付けてあげます。子1を円の頂上に固定してあげて、

求める場合の数は、


5!\times _{4}P_{2}=1440通り

です。


確率は全部区別するので数え方がパターン化されてますが、場合の数は「なにが区別できるのか」を最初に意識しないといけないのですこし難しいです。


また慣れないものを数えないといけないのが厄介です。



たとえば、直接関係はありませんがこんな問題があったとします。



「・ある山に木があって、だいたい1500本ほど生えていることがわかっています。この山の木の本数を正確に数えたいとき、どんな数え方がいいでしょうか?」


人は、太陽がひとつしかない太陽系に生まれた以上二体問題しかできないので、二つ以上のことを同時に考えるのが苦手です。(この宇宙の約半分の恒星は連星です)


つまり、「なにかをしながら数える」ということは苦手なのでミスを生みます。正確な本数を求められているので、歩き回りながら数えるというのはあまり現実的ではありません。


道具は原始的なものなら使ってもいいとします。








正解は、




たとえば

「2000本縄を用意して、山の木を全部くくる。余った縄の本数を数える」


です。場合の数が確率よりむずかしいのは、「数えること」自体に工夫が必要だったりしてむずいんです。



でも大学受験では、数え方の工夫の仕方は数パターンしか知らなくていいので、無理して覚えなくていいと思います。じぶんなりに分かりやすい数え方でやってみてください。